「設備管理の求人が多いって聞くけど、自分にできるのかな」。そう感じたことがある方は、決して少なくないはずです。とくに未経験の方にとっては、「そもそもどんな仕事なのか」「専門知識が必要なのでは」「危険な作業はないのか」といった不安がつきものです。一方で、「安定している」「手に職がつく」といった前向きな声もあり、情報が錯綜している印象を受ける方もいるかもしれません。
設備管理は、病院・オフィスビル・商業施設など、さまざまな建物の“快適な状態”を保つために欠かせない仕事です。だからこそ、求人も一定数ありますし、人がいなければ建物の安全が保てなくなるという面でも、社会的に重要な役割を担っています。
本記事では、そうした設備管理の仕事に対する「入り口の不安」を1つずつ解きほぐしていきます。実際の仕事内容から、働く現場で求められること、求人の見極め方まで、現場目線で丁寧にひも解いていきましょう。
設備管理の1日ってどんな感じ?
設備管理の仕事は、建物の規模や種類によって細かい違いはあるものの、基本的な1日の流れはある程度共通しています。たとえば、オフィスビルでの設備管理なら、朝の引き継ぎからスタート。前日の夜勤者から異常の有無や対応履歴を確認し、巡回点検へと移ります。電気・空調・給排水といった設備をチェックしながら、異音や異常がないかを丁寧に確認していきます。
午前中に一通りの巡回を終えたあとは、必要に応じて軽微な修繕作業や業者手配を行います。昼休憩を挟んで、午後は点検記録の入力、月次点検の準備、外部業者の立ち会いなどが中心。夕方になると再度簡単な巡回や引き継ぎを行い、日勤の業務は終了となります。
ただし、24時間体制の施設では夜勤や宿直がある場合もあります。その場合、夜間は緊急対応に備えつつ、日中にはできない系統切替の作業やバックアップ機器のテストなどを担当することもあります。トラブルが起きなければ比較的落ち着いていますが、緊急対応が発生すればその場の判断と行動が求められます。
勤務形態は日勤のみの現場もあれば、交代制のシフト勤務もあり、自分のライフスタイルに合った働き方を選ぶことも可能です。表からは見えにくい仕事ですが、建物の“安心”を支える縁の下の力持ちとして、毎日欠かせない存在です。
未経験歓迎の理由と、実際の現場の本音
設備管理の求人には「未経験歓迎」と書かれているものが多く見られます。これは一見、ハードルが低く感じられるかもしれませんが、実際にはどういう意味なのでしょうか。現場で求められるもの、そして本当に未経験でもやっていけるのかを正直に整理してみます。
まず、設備管理の仕事は専門性がある一方で、入社時点ですべての知識を備えている人はほとんどいません。企業側もそのことを理解しているため、研修制度やOJT(現場での実務指導)を通じて、仕事を覚えていけるような体制を整えているところが増えています。とくに人手不足が深刻な現在、育成前提で採用する企業も少なくありません。
とはいえ、「誰でもすぐにできる簡単な仕事」というわけではありません。たとえば、空調や電気系統の仕組みを理解するには一定の時間と努力が必要ですし、異常を察知するには“見る目”を養う必要があります。また、法律や基準に則って判断しなければならない場面もあるため、知識のアップデートを続ける姿勢が求められます。
加えて、第二種電気工事士や危険物取扱者乙種第4類といった資格があると、できる業務の幅が広がり、現場でも頼りにされやすくなります。未経験から入っても、資格取得支援を行っている企業を選べば、数年で一人前として自信を持って働けるようになるでしょう。
未経験歓迎の言葉の裏には、「教えるから長く続けてほしい」という企業側の本音があります。だからこそ、自分がその環境で学び続けられるかを見極めることが大切です。
「経験不問」の裏にある現実と、求人の見極めポイント
「未経験OK」「経験不問」と書かれた求人は一見魅力的に映りますが、言葉だけで判断するのは危険です。その背景には、本当に人を育てたいという会社もあれば、ただ人手が足りていないだけの現場も混在しているからです。大事なのは、その求人が「育てる環境を持っているか」を見極めることです。
まず注目すべきは、教育制度の記載です。「OJTあり」とだけ書かれている場合は要注意です。単に現場に放り込まれて見て覚えろ、という体制かもしれません。一方で、入社後の研修期間やマニュアルの整備、定期的な評価面談があると明記されていれば、学びやすい環境があると判断できます。
次に見るべきは、業務範囲の広さと担当設備の内容です。たとえば「空調・電気・消防まで幅広く担当」とだけ書かれている場合、それは裏を返せば「人手が足りないので全部一人でやる必要がある」という意味かもしれません。初心者には向かない現場の可能性もあるので、できれば面接時に具体的な業務分担について確認しておくと安心です。
また、夜勤の頻度や休日の取り方もチェックポイントです。「シフト制」と書かれているだけでは、どのくらい夜勤があるのか、休みはどれだけ確保できるのか分かりません。求人票だけで判断せず、面接で「年間休日数」「夜間対応の発生頻度」などを具体的に聞くことが、後悔しない転職につながります。
「経験不問」には希望もリスクも同時に含まれています。甘い言葉だけに流されず、自分が育ててもらえる環境かどうかを、丁寧に見極めていきましょう。
やりがいもあるけど、正直きついところもある
設備管理の仕事には、人によっては大きなやりがいがあります。建物の機能を安定して維持できたときや、トラブルを未然に防げたときなど、自分の技術と判断が建物全体の「安心」につながる実感を得られるのは、この職種ならではの魅力です。また、設備に詳しくなることで、電気や空調に関する知識が日常生活にも活かせるようになるという声もあります。
一方で、厳しさがあるのも事実です。たとえば、大型施設では管理する設備の数が多く、点検や記録作業が膨大になることも。さらに、トラブル対応は突然やってきます。暑さで空調が止まった、漏水が発生した、非常電源が動作しない——そんなときは即座の対応が求められ、プレッシャーは小さくありません。
また、勤務形態にも注意が必要です。24時間稼働する施設では夜勤や宿直があり、生活リズムが不規則になるケースもあります。人によっては体調管理に苦労することもあるため、自分の体質やライフスタイルと照らし合わせて判断することが大切です。
現場によっては、経験豊富なベテランが多く、未経験者にとっては質問しづらい空気を感じることもあるかもしれません。そうした点も含め、会社選びでは「どんな人が働いているか」「どんな雰囲気か」まで確認できると安心です。
きれいごとだけでは語れない現場ですが、その分、経験を積めば積むほど信頼され、自分自身の成長も実感しやすい仕事です。
未経験から設備管理を目指したい方は、まずは求人情報を見て、自分に合う環境かどうかを探るところから始めてみてください。
👉 https://www.sg-i.jp/recruit_partner
自分に合う設備管理の仕事を選ぶために
設備管理の仕事は、「どんな建物を守るか」「どんな体制で働くか」によって、日々の業務の負担ややりがいが大きく変わります。求人の数が多いからこそ、自分の性格や生活リズム、将来のキャリアプランと合っているかを見極めることが大切です。
たとえば、「一人でコツコツ作業するのが得意」「決められた手順を守るのが好き」という人には向いている職種です。逆に、変化や刺激を求めたいタイプの人にとっては、単調に感じる場面もあるかもしれません。
大切なのは、今の自分に無理のない選択をすること。そして、働きながら少しずつ知識や経験を積み上げていく覚悟を持てるかどうかです。焦らず、でも立ち止まりすぎず、自分のペースで前に進んでいく——そのスタンスこそが、長く続けられる一番のポイントかもしれません。
気になることがあれば、企業に直接相談してみるのも一つの方法です。